2A3 / UX-2A3

(電力増幅用 直熱型3極管)    フィラメント電圧:2.5V  電流:2.5A


最大定格・・・・プレート電圧:300V   プレート損失:15W


動作例 & 特性

A1級シングル・・・EP:250V  EG:−45V(自己バイアス時のRK=750Ω)  IP:60mA  μ:4.2  rp:800Ω  gm:5.2mモー  RL:2.5KΩ  THD(第二高調波含有率):5%  PO:3.5W


AB1級P-P・・・EP:300V  EG:−62V  IP(2本分):80mA  RL(両プレート間):3KΩ  歪率(第二高調波含有率):2.5%  PO:15W


     2A3


   




 2A3は、RCA社既存の250/50 と 245/45 の中間の出力を目標として同RCAが1933年(S・8年)に、主に高級電蓄や好音質オーディオ・アンプ用として開発した球で、 日本では東京電気(マツダ)が1935年(S:10年)日本名をUX-2A3と命名し製造を開始しています。(後の1955年/S・30年にUXを無くしRCAと同じ2A3となりました) ・・写真は、そのマツダ(東京芝浦電気)製 2A3・・

日本では・・高級電蓄といえば2A3、2A3といえば高級電蓄・・と云われるくらい戦前〜戦後(S・30年位まで)を通じ、その道では誰でも知っているほど有名な球でした。 私の通った中学校(S・33年)の音楽室にも 2A3P-P電蓄が置かれていました。2A3誕生以来、今日(2008年)まで70年以上経過していますが現在でもオリジナル構造の2A3ではないけれどロシア、中国 等で相当品が数多く作られていて入手は比較的容易です。又、現今のメーカー製や巷のアマチュア製作オーディオアンプもそれらを使った製品が多くみうけられるほど息の永い真空管です。

2A3は基本的に2種類あり、前期(1933〜35年頃まで)の1枚プレート型と後期(1935年以降)の2枚プレート型が存在します。変更目的は、平版1枚の大きなプレート全面にエミッションを得るため5ターンにも及ぶ単線フィラメント構造で衝撃に弱く、フィラメント断線事故の改善と、製造工程の簡略化、及び品質の安定性向上のため・・と云われていますネ。

以下・・余談です

3極パワー管 2A3にかけたRCAの意気込みは大変なもので、1936年(S・11年)に、新鋭5極管 6F6 プッシュプル(P-P)やビーム管 6L6 P-Pの電蓄を発売したにも関わらずRCAは、これらの電蓄使用ユーザーの音質不満解消のため(ブーミーな音質の不満)同年暮れ 2A3使用の超豪華な電蓄「D22-1型」をあえて発売しています。 D22-1型の内容は下記のごとくで恐れ入る・・

● 2A3を4本使ったパラレル・プッシュプルで出力25W

● オート・レコードチェンジャー付

● HiFi用ダイナミックスピーカーを2個使用

● 高音&低音 トーンコントロール付で、なお且つラウドネス・コントロール付

● 録音装置付(無音溝のレコード盤に信号を刻み込む)及び音声対応と音楽の切り替え機能付

● レコード再生時でのボリューム・エキスパンダー回路付(小さい音は、より小さく。大きい音は、より大きくする見かけ上のダイナミックレンジの拡大・・音量自動伸張回路)

● マジックアイ付で5バンド切り替えのオールウエーブ・ラジオ付

D22-1型は・・デラックスで真空管を22本使用の1型・・という意味

下の写真は、その D22-1型 です。

RCA D22-1型 電気蓄音機



戻る